新米日本語教師の日常

20代、教師歴3年目の日本語教師です。日本語教師のリアルをゆるく書いています。

【日本語学習者の誤用から学ぶ日本語】①「死にそうです」と「死ぬそうです」

「あなたは死ぬそうです」

 

「病院に行って、医者に症状を伝える」というロールプレイをした時のことです。

 

患者役の学習者が、自分の症状を伝え

医者役の学習者が診断を出すのですが。

 

その時の診断内容が

 

「あなたは死ぬそうです。」

 

医者の診断としては少々ありえないシチュエーションですが、そこは置いといて…

 

問題は「死ぬそうです」という部分。

言いたいことは何となくわかるけど、何か違和感を感じますよね。

 

目次

 

死ぬそうです」は伝聞

「~そうです」の前の動詞が辞書形*1だと伝聞の意味になります。

 

「山田さんは来月結婚するそうです。」

I heard that Yamada san will get married next month.

 

なので「死ぬそうです」と言うと

”他の人から「あなたが死ぬ」と聞きました。”

という伝聞の意味になってしまいます。

 

「今にも死ぬ」と言いたいなら、「死にそうです」

医者役の学習者は

「あなたは死にそうです」(You are dying.)

と言いたかったんですね。

 

その場合は「~そうです」の前の動詞が「死にます」の語幹*2「死に」になります。

 

 

一文字間違うだけで、意味が全然違う

日本人は無意識のうちに使い分けていますが

この「そうです」の用法、外国人は本当によく間違えます。

 

「そうです」を導入する時に全部の用法を教えると

逆に混乱を招いてしまいますが、学習者が間違えた時に

 

「一文字違うだけで、意味が変わるんだよ~」

 

と言ってあげると「へ~👀!」と面白そうに聞いてくれます。

 

学習者の発言によく耳を傾けて注意していきたいですね(^^♪

 

 

 

*1:「辞書形」とは日本語の動詞の活用の一つで最後が「u」の形で終わる。例)食べる、飲む、見る

*2:「語幹とは動詞の活用変化する部分を取り除いた、活用しない部分のこと。例)たべます⇒たべ、みます⇒み